Village Report vol.3

カディの糸染をやっている西ベンガルの村へ。(2025年2月)

化学染と同じ工房だが、違うスペースで天然染も手がけている。

染め職人のノート。グレーやベージュなどの難しい色は再現性が低く、毎年違う色で仕上がるのがお約束になっているが、単色は比較的安定してきている。

ところがそこで手がけているインド茜の染の色があまりにも濃い赤で、アリザリンではないかと何度も問い合わせしたが、茜と言い張るので、現地で実際に見せていただくことに。

インド茜とは書いているが、すっかり精錬されているので、見た目はアリザリンぽい。もちろん、100%インド茜を精錬している可能性がないわけではないが。。

アリザリンは、茜の根に含まれる天然の色素で化学的に合成されている。100年以上前から利用されており、今や伝統染料のひとつだ。アリザリンには発色の安定などその良さがある。

ただ、アジュラックの職人が茜を使うときには、明らかにその根っこを粉砕したものを使っているように、かなり意識をしてアリザリンと区別するようにしている。

インドではそういうことがよくある。インディゴだといってもほとんどの場合、合成藍を使っている。こちらは色を見たら大体わかるものだが、使っている本人がもはや天然藍を見たことすらないケースも多く、染料のサプライヤーが、アリザリンを茜、合成藍をインディゴとして売っている。染めの職人自らがバイヤーを騙そうとしているわけではないが、全体として信頼できないという構図になってしまうのは残念である。

この後、うちのデリーのメンバーが、ベンガルの生産チームを連れて、そうした染の言語のわかる、より信頼できる染料屋を訪ねるためにジャイプルに飛んだ。