Village Report vol.1

<内容的にvolume/順序を変更しました 5/31>

旅の写真を見返すのが楽しくて、仕事が中断しがちだ。

写真を見ながら、インド亜大陸において、古くて新しい手仕事の世界が日々更新されてきたこと、それを僅かながらも見てきたことを嬉しく思う。

ひとりで、あるいは現地の同志知人らと旅して、同時代に生きる目の前の人々(職人)や彼らの仕事場を訪れる。行けば行くほど、素人上がりの私の中でも少しは解像度が増してきて、大きな世の潮流の中で、彼らがどういうスタンスをとり仕事をしているかがよく見えてくる。

多くの職人は、現代的な手段に乗り移った、あるいは、乗り移っている最中だ。顧客や市場が変わると技術や表現も変わる。私たちも、その変化について責任がある。だから、彼らと彼らの仕事の伝統において、望ましい形をデザインし、関わらないとならない。

また、誰に頼まれようと、どんな柄だろうとあまり関心を払わず、ただ呼吸をするように黙々と仕事をする昔かたぎの職人もいる。インドの同志たちと私はそうした職人を見つけると互いに情報交換する。そうした人々が変わらず続けていくことのできる仕事を創るのも私たちの役目だと考える。

布の旅の報告は、主に個人のインスタグラム(@fumie_CALICO)にしてきたが、毎回旅の途中でアップしきれずに季節が巡る...ということを繰り返してきた。目の前の剥き出しの情景を咄嗟にアップしたところで、その何を伝えられるだろうと思うと、なかなか更新ができなくなってしまった。

あるいは、現地の友人の大事なプロジェクトを仕掛けている小さな工房など、私が下手に紹介することで、現地のものづくりの生態系を壊してはならないということも度々あった。

でも、訪問するたびに違う表情を見せる村の仕事。
どこかできちんと残しておきたいという気持ちは強くなりつつあった。

今回のWEBサイトの更新の主な目的は、現代のインド大陸の仕事を記録し、紹介すること、そして、我々のささやかな活動の記録を残すこと。

布だから、場所も、時間も、あちこちに旅することと思います。

よろしくお願いいたします。

photo by Yayoi Arimoto, 2019