刺子とカンタ at 関西万博パネルディスカッション 6.12 Thu

Throw bock…. participated in Textile Week at World Expo 25, organized by Ministry of Textiles of India & NIFT, talked about Sashiko and Kantha, and possible relations of those, in the past and future.

6月が終わり。今月はいつもにましてインドからの来客と各地で継続開催中の企画展で大忙しだったのだが、その合間に、関西万博「食と暮らしの未来ウィーク」に併せて開催されたインド政府によるテキスタイルウィークのパネルディスカッション「HandmadeTextiles of India: Sustainability through Darning -Sashiko and Kantha」に参加させていただいた。(6/12)

諸般の事情により、告知なども間に合わずだったが、11/11(イレブンイレブン)のShani Himanshu 氏やMinistry of TextilesのMs.Shubhraとともに、インドと日本の布文化の共通性、とりわけ刺し子とカンタについてお話しした。
最近までYoutubeも上がっていたようだが、非公開となったのでトークのことを記録ついでに書いておきたい。


麻(大麻・苧麻)、樹皮布_布と紙、新しい布を奉じるのは自然崇拝であり祓いであるという神道の視点から、日本の布の背景について少し説明した。
その後、長らく麻が重要な素材だったが、木綿が入ってきてその様相が変わる。
伝播の諸説や、江戸時代に南インド・チェンナイのサントメ港から渡ってきた唐桟(唐桟留)の影響など、日本でもインドでも今は知らない方が多い木綿の歴史にも軽く触れた。


木綿の日用の使用を禁じられ麻に刺した東北の刺子と、薄い木綿のサリーを重ねて刺したカンタには不思議と似たデザインがあるが、これは、伝播ではなく、復元性の高い刺しの文様ゆえの必然だと思う。
それよりも、7世紀末には大陸から仏教とともに最も格の高い袈裟として糞掃衣の概念(梵語ではパンスクーラという)と刺子の手が日本に渡ってきたことが興味深い。
雑巾やどんざなどの作業着として、それは意識しなければ気が付かないほど日本の文化に浸透した。

インドでは布に鋏や針を入れるのは穢れという考え方があるが、日本では、幾重にも針を刺したボロを着るのは倹しさの表れであり、耐久性や保温性などの実用性はもちろんのこと、慈悲や祈願の象徴となることもあった。

インドのカンタについては、岩立広子氏が蒐集したコレクションによってその存在が多くの人に知られることになった。
5月にはインドの先生方が岩立フォークテキスタイルミュージアムに寄ってくださり、岩立先生にもお会いになり、カンタのコレクションの一部をご覧いただいた。

また、刺繍作家の望月真理氏らの尽力によって今や日本でもカンタ刺繍を行われる方の輪が広がっているともお伝えした。

イベントの後、各地で毎日のように、トークの様子をyoutubeで見てくださったカンタ刺繍の指導者の方や愛好家の方とお会いし、いろいろお話しすることになった。

一番面白かったのは、Shani Himanshu氏が発表の中で見せてくれた彼らの作品のカンタが、まさに八世紀のものとされる糞掃衣のイメージに酷似していたこと。
でも、彼ですら糞掃衣の概念は知らなかったという。

それくらいインドにおいても普遍的なものなのかもしれない。

最後に、諸般の事情により、異例のギリギリの準備となってしまったが、非常に難しい時間軸のなか、資料準備を快くサポートくださった岩立フォークテキスタイルミュージアムのみなさまとキヤリコの仲間に感謝いたします。

岩立フォークテキスタイルミュージアム様_刺し子とカンタ

アリサト工房 廣中有里様_自然布
いるふ 宮本佳緒里様_刺し子(雑巾)Gallery 啓より
吉田真弓様_ダーニング

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