HANDSPUN & HANDWOVEN COTTON カディ
主にインド大陸で生産されている手紡ぎ・手織りの布の通称。
“Khaddar”と呼ばれる、ベンガル地方などインド東部を中心に織られてきた手織り布に由来するといわれる。カディということばは、マハトマ・ガンディーが反英独立運動の際に、自ら手で紡ぎ、織って着用していたことから再び命を与えられた。
ガンディーが、「Khadi is not just a cloth. It is thought. (カディはただの布ではない。思想である)」ということばを残している通り、今日でも、インドに限らないさまざまな国や地域で、暮らしや経済、生き方そのものに大きな影響を与えている。
また、カディを作るということは、織り師を中心に、糸を紡ぐ者と染める者、緯糸を準備する者、整経する者、綜絖をかける者、生地を染める者、刺繍をする者、洗う者、売る者―村にさまざまな仕事を作り出すことでもある。若者が行う仕事、女性が行う仕事、年寄りが行う仕事、それらは、見事に分担され、それぞれの空いた時間がうまく使われることで成立している。
インドでは、村で作られているものは、機械織りであっても、緯糸のみ手紡ぎの糸であっても、総じてカディと言うこともあるが、CALICOでは、原則、縦糸緯糸共に手紡ぎのものをカディと呼んでいる。
手回しの力加減によって糸の組成にムラがおこり、また、細く切れやすいため、手で紡ぎ合わせることでフシ(ネップ)が生まれる。それが生地に独特の風合い・手触りをもたらす。中でも、かつてモスリンともてはやされた極細番手を織ることができるのはベンガル一帯だけとされている。
私たちが訪れる西ベンガルの村では、今では単一車のシングルチャルカ(いわゆるガンディーチャルカ)ではなく、写真(左上)のような複式チャルカ(アンバーチャルカ)で、織物の緯糸として使用される糸巻を一度に6〜8本、さらに染め用の糸巻きを同時に作ったりできるようになっている。この手紡ぎの良さを残しながらも少し生産性が向上した糸車のお陰で、村の女性たちも、夫や子供が家にいない日中の4-5時間、工場にくるだけで機織りの男性と同じくらいの収入が得られる。
一方でシングルチャルカも、染め終わった糸束から糸巻をつくるのに今でも重宝されており、カディの村では一家に一台はこのチャルカが置いてある。近年では、シングルチャルカで糸紡ぎをした商用カディも、カッチなど一部地域で復活しはじめている。(詳しくは、「CALICOのインド手仕事布案内 」P14-19, P38-39, P62-63, P117-119をご参照ください)
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