KALA COTTON カラコットン

グジャラート州カッチの東部地域で、古代より栽培されてきたとされるカラコットン。現地の言葉やヒンディー語で、カーラー(黒)の意味の通り、品種改良・漂白されたものに比べると、キナリ色の強い品種改良されていない在来種のコットンです。(綿実やカスの黒い粒々が混じった状態のことを指すともいわれます。)


インドの綿花生産の起源は、古く、紀元前3000年以上前に遡るとされています。植民地時代に、工業生産用に利用しやすい改良種が入り、戦後の農業改革(グリーンレボリューション)を経て、近年では、アメリカ由来のBTコットン(通称ハイブリッド・コットン)と言われる、遺伝子組み換えされた種がインドの全生産の96%を占めると言われています。


在来種に比べて収穫率・収益率が高い一方、種の価格が極めて高く、また、農薬や肥料、除草剤などの費用も必要となるため、個人農家はその投資についていくことができずに脱落するケースが後を断ちません。また、農薬による土壌汚染や健康被害の問題なども少なくありません。


カッチでは、2001年の地震を経て、大きな産業化の波が押し寄せ、1990年代から2000年にかけて、織り師人口も急速に減少しました。そもそもが各家庭で行われてきた小さな仕事だったのですが、産業規模全体が小さくなったため、工業生産のバリューチェーンから原材料である綿花や糸を調達することが一層難しくなり、なんとか現地で小さな規模で原材料を調達する必要がでてきました。そのときに必然的に注目されたのがカラコットンでした。


カラコットンは、降雨水のみで育つ上、病気や害虫にも耐性が高く、農家の方が少ない投資で栽培できます。痩せ細る土地に弾力を与え、蘇らせる効果もあります。短繊維なので、ベンガルのモスリンカディのような繊細な細番手を織ることはできませんが、そのやや粗めのざっくりした織りもカラコットンの魅力のひとつです。

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