庭に入ってすぐ右の小屋でいつもコットンサリーを織っていた織り師。
ジャガードの機を使い、ボーダーに紋様を入れる。
ベンガルの年をとった女性が似合いそうなシンプルなデザインのものが多かった。
他にはないデザイン、あるいは、自分のデザインだったのかもしれない。たくさんあるとは思えないパンチカードを順ぐりに使っている様子だった。
サリーのデザインで、生地も織ってもらえないかとお願いしたことがあるが、「自分が織りたいものしか織りたくない」と断られた。注文の仕事をするのが常であるベンガルでこういう織り師がいるのは珍しい。その機の音に誘われるかのように、その場に留まった。機音に合わせて、その場所がだんだんと活き活きとした色彩を帯びていくようにも感じた。